2021年度 池田泉州銀行
第18回 イノベーション研究開発助成金優秀賞受賞
高度なAI・IoT技術の社会実装をする、サッカーやラグビーなどのフィールドスポーツの分析に有益なスポーツ向けソフトウェア「Intelligent Panorama®」と「Intelligent View®」を開発しました。
フィールド全域が撮影されていることにより、特定の選手のパフォーマンスをこの映像だけから算出することや、フォーメーションに関するチームの戦術分析にも活用できます。また、AIを使った画像処理による選手の自動検出や自動追尾の分析にも適応できます。
Intelligent Panorama®
パノラマ動画生成ソフトウェア「Intelligent Panorama®」を使えば、ビデオカメラでプレーシーンの追跡撮影は不要になります。
フィールド領域を2台のビデオカメラで撮影し、全域をカバーするようなパノラマ映像を自動生成できます。これにより、全選手やボールを確実に計測および解析ができるフィールド全域のパノラマ映像の生成が可能です。
従来の撮影方法の課題
従来の民生カメラを用いた撮影では、1台で撮影できる範囲に限度があり、フィールド全域を見渡せるパノラマ映像を撮影するには、専用機材を用いてフィールド全域を撮影するか、全天球カメラなどの全方向を同時に撮影可能なカメラが必要でした。
前者は、専用機材であり非常にコストがかかり、後者は、撮影範囲が全体となるため選手やボールが非常に小さく映り解析する映像には向きません。また、昨今のスマートフォンなどの発達に伴い、パノラマ画像であれば撮影可能ですが、動画の場合は容易ではありません。
本製品の特長
本製品は、パノラマ画像生成機能とパノラマ映像生成機能で構成され、下図のように、二つのビデオカメラで撮影した左半分と右半分の映像から、パノラマ映像を生成できます。
二つのカメラの各フレーム画像に対して、特徴点を検出し、その特徴量に基づいて対応点マッチングを行います。そして、左右のフレーム画像を結合し、パノラマ画像を生成します。このとき、接合部のズレを解消するために、縫い合わせラインを自動で決定し、接合部の境界を馴染ませることで違和感のない合成が可能となっています。
下図は、長居競技場で行われたアメリカンフットボールの試合を、観客席から左右に少し角度を振って撮影した二つの映像から生成したパノラマ映像です。二つの映像において、真ん中が重なるように撮影することで、特徴点のマッチングが容易となり、シームレスなパノラマ映像を生成できます。
Intelligent View®
動画再生ソフトウェア「Intelligent View®」を使えば、拡大・縮小、再生速度の変更、タグ付けなど、自由自在に動画の確認ができます。
本製品の特長
本製品は、下図のように、パノラマ映像の表示に最適なビューアツールです。パノラマ映像を生成する際に必要な機能が備わっています。
● ズーム機能
本機能では、マウス操作で簡単に再生箇所を拡大縮小でき、全体のパノラマ映像から見たいシーンを大きく再生できます。
● 選手追尾機能
本機能では、拡大したシーンから選手が移動した際に、その移動に合わせて表示範囲を自動調整することで、選手を追尾できます。
● しおり機能
本機能では、シークバー上にしおりを挿入することで、注目シーンをタグ付けでき、後から簡単に見返すことができます。